エッセイ漫画を描いていると、よく聞かれることあるある。
パートナーは、
この漫画を描いていることを
\ 知っているんですか? /

私の描くものは恋愛系(主にマッチングアプリ体験談)などが多かったし、相手との出来事やその時の感情までかなり細かく描いているので、気になるのだと思う。気になって当然だよね…。
でも、当たり前だけれど、内容は実話をもとにしているとはいえ、設定も登場人物の名前も見た目も個人情報も、ほぼすべて創作している。だから多分、私の描いている漫画って本人が見ても自分だとは分からない。むしろ、私の作品を読んで「自分かも…?」と思うようならば、絶対にあなたではない!
それは、「こういうことがありました!」という日記を垂れ流したり、特定の登場人物をこてんぱんにやっつけたい!という意図で漫画を描いているわけではないからだ。
その出来事によって自分が何を感じて、何を得たのか。
そして、その感情や経験が、どれくらい誰かの共感になったり、勇気になったりするのか。
特定の場面で自分が“感じ取ったもの”を読み手にうまく伝えるための、一種のツールとしてエッセイ漫画を描いている。

特にアラサー女性の恋愛やマッチングアプリ活動においては、今でこそアプリ婚なども当たり前と言われるほど浸透したけれど、私が漫画を投稿し始めた当時はこうした誰かの赤裸々な体験談を見聞きできることや、「共感」を求めて語らう場も少なく感じていた。
自分自身が苦しい思いをした経緯があったからこそ、自分が使えるツールを使って発信することで、その一助となれるのではないか…!?!?と、おこがましいけれど変な使命感みたいなものもあったかもしれない。
とはいえ、私はこれまで、パートナーに自分の漫画を見せたことがなかった。
見せてと言われても、絶対に嫌だった。
それは単純に、「実際の自分と漫画のキャラが違いすぎて、引かれるだろうな…。」と思っていたから。漫画の中の私は、ギャグ要素も強いし、変なテンションで小ボケをかましまくっているし、ちまちました感情の動きは、多分男性から見たら『面倒くせぇ女』そのものな気がする。

でも最近、それは少し違ったのかもしれないと思うようになった。
むしろ、漫画の中にいる自分の方が、一番“素”に近いのではないか???
そう気づいたのは、最近夫といるときの自分の話口調や、動きが完全に漫画のキャラ(つか子)に寄って来ていたからだ…!!!!
そう、だからこそ、良い部分だけを見せたいと思っていたこれまでの恋人には見せられなかったのかもしれない。

こういう場面で、
本当はこんな風に感じていた
とか、
突如変なダンスを踊り出したり、
つまらんギャグや派生コトバを使ったりとか。
そういう繕わない自分を見せることで壊れてしまうくらい脆い関係性なのだと、心のどこかで分かっていたのだと思う。
物凄く見た目がタイプで、一緒にいるとずっとドキドキして、言いたいことも言えずに(POISON)相手に合わせる恋愛ばっかりしていた頃の私はずっと、”相手に好かれる自分”を演じて、差し出していた。だから、エッセイ漫画みたいなある意味自分の本音を煮出した作品を見せるのが怖かったのは、当然のことだと思う。
そう考えると、エッセイ漫画は私にとって”秘密基地”みたいなものなのかもしれない。
本来は誰にも見せなくていいもの。
ちゃんと素の自分でいていい。そんな場所。

実は結婚相手には、密かに「自分のエッセイ漫画を見せられる人」という条件を持っていた。
それくらい、自分がのびのびといられて、心の内をさらけ出しても引かずに笑ってくれるような人。あるいは、自分自身がその秘密基地の扉を少し開けられるくらいの図太ぇ(ずぶてぇ)メンタルを身に着けてからじゃないと、結婚は難しいのかもしれないとも思っていた。
ひょんなことから、今、私はまだ出会って半年しか経っていない夫に、エッセイ漫画を描いていることを話し、実際に漫画も読ませている。もちろん、全部ではないけれど。

私にとってそれはたまたま「漫画」だったけれど、漫画を描かない人にとっては、「SNSの裏アカ」や、「日記帳」に近いのかもしれない。
恋人に見せられるかどうか。
見せたいと思えるかどうか。
でも、それは別に、絶対に共有しなければいけないものではないと思う。誰にだって自分だけの秘密基地は必要だし、誰かには見せられるけれど、違う誰かには見せられない顔。そんな二面性があるのもまた、人間らしいことだ。
”秘密基地”を”秘密基地”としてしっかり守っていた自分も、別に間違ってはいなかったと思う。ただ今は、その扉を少しだけ開けて、「これが私です!!!」と差し出してみても、大丈夫だと思える人が隣にいる。それは結婚したことによる自分なりの覚悟の現れかもしれないし、相手が夫だったから出来たことかもしれない。
だからこそ、このタイミングで秘密基地を“ひっそり自分を守るための場所”から、”安心して戻ってこられる場所”にしていきたいという、そんな気持ち。

これまでよりもっとのびのびと、私にしか描けないものをどんどん世に出していきたいし、いつかはそれが私だけじゃなくて、誰かにとっての秘密基地にもなれていたらいいな、とも思う。



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